Photograph from Asia 18



 

   カルムイク人のクリスマスパーティ

   文/ 井出晃憲 (いで あきのり)   


 アメリカのフィラデルフィアには、亡命してきたカルムイク人のコミュニティがある。ここに住む人の多くは、「ブザワ」と呼ばれるドン・コサック化したカルムイク人の末裔だ。
 第二次大戦中の一時期、カルムイキア周辺はドイツ軍に支配された。その後、カルムイク人は対独協力の罪でシベリアに民族ごと強制移住させられたが、一部の人々はヨーロッパの各地に逃れ、難民生活を送っていた。戦後になって難民認定がなされ、アメリカの市民権を得ることができるようになったのである。
 私がそのコミュニティを訪問したのは、ちょうどクリスマスの日だった。チベット仏教徒の彼らにとってもそれは一大イベントであり、多くの親類縁者が集う。そして、写真にも見えるとおり、カルムイクの伝統的なドンブラや口琴を演奏して楽しむ。クリスは、以前ロシアのカルムイクでばったり知り合った青年だ。親族訪問だという。彼のようにアメリカで生まれすっかりアメリカナイズされた生活を送っている者でも、故郷に対する思い入れは強い。「ぼくはアメリカが嫌いなんだ。ハングリー・ビーストだから」と彼は言う。チベット仏教寺院にも足繁く通う。
 近年、本国との交流が盛んになって、また多くの移民がやってくるようになった。彼らの生活は豊かとはいえない。だが、カルムイクの誇りを持ちながら、アメリカ社会に適応しようと努力している。また、彼らのところを訪問してみたい。


Photo Gallery 目次
Photo Gallery 19

ご感想をお寄せ下さい