Photograph from Asia 11


   バランスの回復

   写真・文/ 早川文象 (はやかわ ぶんぞう)   


 異質な貧しさだ、と思った。初めて東ティモールに入ったときの印象である。
これまで歩いたアジア各地でも貧しさを感じたことはあったが、ティモールのそれは少々異質なもののようだった。
 貧しさといっても、経済的、物質的、精神的などいろいろな性質の貧しさがある。日本などは物質的には豊かでも日常生活のゆとりの貧しさが言われたりする。貧しいといわれるアジアの場合は、経済的、物質的な面から言われることがほとんどだろう。
 だが、貧しいけれどある種の豊かさを持っている、そんなバランスが、どこの地域にもあると思う。その地域が持つ何らかの豊かさあるいはバランスのようなものは人々の息づかいや雰囲気としても伝わってくる。
 ところが、東ティモールの場合はどことなく違っていた。それは、インドネシアに占領され、軍に虐げられてきた時間の長さによるものなのか、何なのか。
 独立に反対する、併合派と呼ばれる武装集団の活動が活発化したことで、独立を問う住民投票が延期になった。併合派の多くは軍から金をつかまされた貧しい農村出身者だと聞く。今、貧しいがゆえ、金に踊らされて同胞と傷つけ合う悲劇が起きている。
 独立か否かは別としても、軍による暗い影を払拭し、東ティモールなりの豊かさを感じることのできる日が早く来てほしい。(フォトジャーナリスト)

Photograph from Asia 12
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