Photograph from Asia 



 

   ビルマの女性修行者・ティーラシン

写真・文/ 近藤 衛 (こんどう まもる)   


 

 例えば、マンダレーにあるヤカインー・パゴダのマハムニ仏。インレー湖のファウンドウー・パゴダ。これら由緒正しき本尊に女性は近づくことができない。本尊の前には、“女人立入禁止”と警告するウォーニング・ポストが立っている。そんな時、単なる物見遊山のツーリストは、宗教が持つ禁忌と不可侵性に気付く。
 女人禁止。これは女性差別なのか? それでも、ビルマの女性修行者ティーラシン(戒律の持ち主の意)は、同じ上座部仏教国タイの女性修行者(メーチィー)よりも恵まれている。ティーラシンには僧籍が交付され、僧団に連なる身分が保証されている。また、仏教典試験を受験することもできる。専門家によると、ビルマ上座部仏教の教義では、女性が涅槃(ねはん)に到達することは不可能と解釈でき、まずは男性に転生することが解脱(げだつ)の第一歩だとされる。約2万人ほどいるとされるティーラシンが僧院に身を寄せると、来客のもてなしや雑用をこなしたりと、位の低い者として扱われることも多い。また、結婚生活の破たんなどからティーラシンになる場合もあり、一般社会では揶揄の対象になることも多いと聞く。
 敬虔な仏教国ビルマで僧侶の社会的地位は高く、世俗を捨てたとはいえ世俗的権威と無縁とは言えない。現世に失望し、在家社会から嘲笑され、仏典のみに救いを求める女性修行者。それでも幼いティーラシンの笑顔には、世間の逆風や嘲笑を感じさせない日常の穏やかさが伝わってくる。


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